胃内視鏡検査(胃カメラ)とは
胃内視鏡検査は、食道や胃、十二指腸など、上部消化管に発生した病気や異変を見つけるのに最適な検査であり、広く行われています。皆さまの中には、会社や市区町村などで行われている集団健診の際に、バリウム(胃部造影剤)を飲んだ上でのエックス線検査(胃透視検査)を受けられた方も多いと思います。このような検査方法にも一応のメリットはあると言われていますが、食道や胃の内側の状態を確認するには、口や鼻から内視鏡を挿入し、非常に小さな高性能カメラで実際に見てみるのが一番です。
胃内視鏡検査の種類について
胃内視鏡検査には、口から挿入する経口内視鏡検査と、鼻から挿入する経鼻内視鏡検査があります。どちらも食道や胃の粘膜を詳細に調べることが出来ますが、挿入部位以外にも幾つかの違いがあります。
まず、大きな違いとして「内視鏡の口径」が挙げられます。経口内視鏡は約9㎜ですが、鼻の穴は口よりも狭いため、内視鏡の口径も5~6㎜の細さなのです。そのため、以前は経鼻内視鏡の機能面が不十分との指摘もありましたが、近年のスコープは改良が進んでおり、どちらもほぼ同様のスペックを装備しています。
経鼻内視鏡の場合では、鼻腔を内視鏡が通過しない場合もあるのですが、そういった場合でも同じスコープで経口挿入に変更が可能です。その場合には経口用のスコープよりも細径ですので苦痛は軽減されることが多いです。
女性医師による胃内視鏡検査
当クリニックでは、女性医師である副院長が、胃内視鏡検査を行っております。
このような症状の方は胃内視鏡検査をお勧めします
- 胃や食道が痛む
- 胃や食道に不快感がある
- 吐き気・嘔吐
- 体重が急激に減少した
- 痰に血が混じっている
- 食欲不振
- 胃がんや食道がんになった家族がいる
- 胃のバリウム検査で異常を指摘された
- 塩分や脂っこい料理をよく食べる
胃内視鏡検査で発見される消化器系疾患
胃内視鏡検査の流れ
予約制で行っております。電話予約も可能ですのでお問い合わせください。
- 検査前日
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- 前日の夕食は、早めに済ませるようにしてください。
- アルコールはできるだけ控えましょう。
- 遅くとも午後9時を過ぎたら食事は控えてください。水分(水、お茶)は可です。
- 検査当日
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- 検査時間までは絶食です。水分(水、お茶)は可です。
- 服薬については医師の指示に従ってください。
- タバコは吸わないでください(胃液分泌が多くなるので、検査しにくくなります)。
- リラックスして検査が行えるよう、ゆったりとした服装でご来院ください。
- 当日は、ご自身で自動車やバイク、自転車などを運転してのご来院はお控えください。
検査時の開始から終了までの流れ
当日行われる胃内視鏡検査の大まかな流れは次の通りです。
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1. 問診後、消泡剤を飲む
消泡剤を服用することで胃内の泡を除去し、観察しやすい状態にします。
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2.麻酔の投与
挿入する側の鼻の穴を選択し、鼻腔(両側の鼻の奥)に麻酔薬を注入します。
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3.検査開始(内視鏡挿入)
内視鏡を鼻から挿入していきますが、検査時は左側を下にしてベッドで横になります。
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4. 食道、胃、十二指腸を直接観察
食道、胃、十二指腸の内腔を観察していきます。また医師が必要と判断すれば、組織の採取(生検)を行います。
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5. 検査終了
一通り観察を終えたら検査は終了となります。検査時間につきましては、個人差ありますが、10分程度です。
検査後の注意点
- 経鼻内視鏡検査を終えた後は、鼻を強くかまないでください。
- 検査後、1時間程度は飲食を控えてください。
- 組織検査を行った場合は2時間後から飲食を再開してください。
- 検査当日の車の運転は控えてください。
消化器系疾患
ピロリ菌
正式名称は“ヘリコバクター・ピロリ”と言います。
ヘリコとは「らせん状」という意味で、バクターとはバクテリア(細菌)、ピロリとは胃の出口で十二指腸へとつながる部分(幽門)を意味する「ピロルス」というラテン語の単語から来ています。
この菌は胃の幽門部から初めて見つかりました。
ピロリ菌の最も大きな特徴は、酸素の存在する大気中では発育しないことで、酸素にさらされると徐々に死滅していきます。
大きさは約3μm(マイクロメートル)で、4~7本の鞭毛(べんもう)を持ち、この鞭毛を高速で回し、その回転力で胃の中をドリルのように進み、移動します。
ピロリ菌が強酸性下の胃の中で生育できるのは、胃の中にある尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、アンモニアで酸を中和することにより、自身の周囲の酸をやわらげているからです。
ピロリ菌検査について
胃カメラ検査で慢性胃炎(萎縮性胃炎)が確認された場合は、ピロリ菌がいる可能性が高いと考えられます。当院では尿素呼気試験法でピロリ菌の検査を行っています。
感染が確認された場合は除菌治療をお勧めしております。
ピロリ菌の除菌
ピロリ菌の除菌療法とは、1種類の「胃酸の分泌を抑える薬」と2種類の「抗菌薬」の合計3剤を同時に1日2回、7日間服用する治療法です。
内服終了後、4週間以上経過してからピロリ菌が除菌できたかどうか、もう一度検査する必要があります。この場合の検査も尿素呼気試験法で行っております。
除菌が成功した場合でも、まれに胃がんなどを発症することがあります。そのため除菌が成功した後も定期的な胃カメラ検査を受けることが大切です。
胃がん
胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞に変化する疾患で、日本人が最もかかりやすいがんの一つです。早期がんは、それ自体による症状は無いため、多くは健診や人間ドックを受けた際に発見されます。毎年定期的に検診を受けることが、胃がんの早期発見のために最も重要なことです。早期胃がんの予後はとても良く、完全にがんを切除できた場合、治癒率は9割を超えます。またヘリコバクター・ピロリ菌は、胃がん発生の原因になることも判明しており、ピロリ菌が存在する場合は、胃がんリスクを減らすために、ピロリ菌の除菌が検討されます。